オーディオ雑誌analog(アナログ)vol40
212Pの「オープンデッキに夢中」ミュージックテープ新発売の話題(by小林貢)にとりあげていただきました。(前半省略)
「亀吉レコード」からはミュージックテープが発売
話は変わるが、昨年末にフィリップスブランドの4tr 2ch,6ヘッド構成のリバース機N4450を知人から譲りうけた。
電源が入る事だけは確認したが、正常な動作はしない。(省略)
この原稿を書いている最中に本誌35号と36号で紹介した亀吉音楽堂が主宰する亀吉レコードからリリースされる、38/sec.2trのミュージックテープ2巻た届けられた。
1作はベーシスト河崎純のソロ作品「ビオロギア」もう1作は「マイレヴァリー/鈴木輪」「Bewitched/山口温子」の2作のヴォーカル作品とサックスとギターのデュオ作品「バットビューティフル」から2曲ずつを抜粋したオムニバス作品「Kamekichi Record special vol」だ。
2作ともマスター音源は現在主流のマルチ録音だが、これをアナログ機器で、5・6MHzのDSDマスターにトラックダウンした後、アナログテープに1本づつダビングしている。
同レーベルを主宰する上田隆志氏は同社スタジオの生々しい音を一般家庭内でどこまで忠実に再現できるかを疑問に感じた折りに思いついたのだが、スタジオ内で作りあげた音をアナログテープに録音する事だったという。デジタル音源をアナログテープに録音したのでは、本当のアナログの音ではないといぶかる人もいるだろう。
しかし市販のCDを一度テープにダビングして楽しんでいるアナログテープファンは多い。このことから、デジタル音源をアナログ化することで、デジタル、アナログ双方のメリットが発揮されることは想像出来る。
しかもアナログよりもはるかに広いレンジと高SN比情報量を確保しているDSDマスターであれば、そのメリットはより大きくなる。
「ビオロギア」はウッドベースのソロ作品で即興的な要素が強く、緊張感のあるスリリングな演奏が展開されている。
高い鮮度とSN比が確保されたクリアなサウンドが得られ、ピチカートやボウイングのタッチやニュアンス、低音弦の唸りがリアルに再現される。また胴鳴りも明瞭で、濁りのない長い余韻は、深遠とした風情を漂わせている。また空気のわずかな震えや演奏者の気配まで、聴きとれるほどのDレンジの広さを感じた。
「Kamekichi Record special vol」で聴けるヴォーカルは実体感のある音像で浮かびあがり、リップノイズや息遣いなど細部も克明で表情豊かに再現される。
ピアノのアタック音には適度な厚みが感じられ、力強さのなかにしなやかなタッチが感じられる。またギターは大型アーチトップ・ボディのギブソン、スーパー400CESならではの線の太い豊かな響きが生々しくよみがえってきた。前編にわたるリアルで存在感のある響きは、アナログテープならではと言えるもので、ハイレゾリューションのデジタル音源でも得難いものだ。同レーベルの今後の展開に大きな期待が持てる作品のリリースはテープファンにとっても喜ばしいことだ。ABCレコードからもミュージックテープが発売。話題は一段と盛り上がりを見せている。